宮花物語
「妃の位のはく奪と、死刑!?」

あまりの極刑に、信志と忠仁は目を合わせた。

「ですが、お互い自分が悪いので、相手には何も罪はない。黄杏は離縁を言い渡されてもよい、将拓の命を助けて欲しいと。将拓は、自分の命を差し出す代わりに、黄杏を罪に問わないでほしいと申し出ております。」

これにも、信志と忠仁は、胸が締め付けられた。

この兄妹は、こんなに追い込まれた状況でも、お互いを思いやっているのか。


「ここまでくれば、もう私の一存では、このお話を終わらせる事はできません。できれば王に、判断を仰ぎたく存じます。」

白蓮の真っすぐな視線。

本当に答えが出ずに困っているのか、それとも自分を試しているのか。

信志が、息を飲みこんだ時だ。


「この大馬鹿者が!!」

忠仁が将拓を、殴り飛ばした。

後ろへ大きく飛ばされた将拓は、壁に控えていた勇俊が、受け止めた。
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