宮花物語
「恐れ多くもお妃様に色目を使おうとしていたとは!商才がある故、宮中出入りに取り立ててやった私の顔を潰すつもりだったのか!」

「申し訳ありません!!」

将拓は、口元の血を拭い、忠仁の前に額をつけて謝った。

すると今度は忠仁が、王の前に頭を下げた。


「王。この者の才能と忠誠心は、私がよく存じております。決して王やお妃様に対して、不敬を働くような者ではございません。今回の事も、お妃様の願いを叶えて差し上げたいと言う、真心からの行動かと思われます。どうか、お慈悲を。」


「そうか。黄杏が不義を行うような者ではない事、誰よりもこの私が知っている。この二人に、罪はない。だが、宮中を騒がせた事に対しては、何かしらの処分を与えなければならぬだろう。」


黄杏と将拓は、頭を上げた。

「黄杏はしばらく屋敷で蟄居。将拓は3年の宮中出入りを禁止する。これで如何だろうか。」

これには忠仁や勇俊、そして黄杏も将拓も、笑顔になった。
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