宮花物語
「あなたも、惨めな方だ。」

「なに?」

部隊長が冷たい視線を、勇俊に投げかけた。

「このような一商人。放っておけばよいものを。いや、さっさと正妃様が仰る通り、致命傷を負わせておけば、あなたがこのように傷つく事もなかった。」

「おまえ~!」

勇俊は腕を抑えながら、部隊長の前に立ちはだかった。

「この方はな!この方はな!!」

勇俊は、部隊長の胸倉を掴んだ。

「この国の為に!妹君の為に!自分の立身出世の道を、自ら捨てられた、尊いお方なのだ!!」

「ほう。ならば、今回もお国の為に、その身を捧げて頂ければ、よいものを。」

「何だと!!」

勇俊は、部隊長を殴り飛ばした。


「止めて下さい!」

そんな勇俊の足を、将拓は両腕で掴んだ。

「護衛長殿!どうか!私の片目を、あなたの手で潰して下さい!」

「何ですって!」

自分の足を掴む将拓に、勇俊は叫んだ。
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