宮花物語
「私が致命傷を負えば、この場は収まります!」

「ですが!」

「お願いです!私は、あなた様であれば、片目を潰されても本望です!」

将拓はじっと、勇俊を見つめた。

「将拓殿……」


将拓と勇俊のやり取りを聞いていた部隊長は、高笑いを始めた。

「友情ごっこを見ているのも、面白いものだ。それがどこまで通じるかな。」

「なに~!おまえと言う奴は!」

勇俊は、一歩前に出ようとした。

「護衛長殿!」

それを将拓が阻む。

「はははっ!」

その隙に、勇俊が刀を振り上げる。

「危ない!」

将拓は立ち上がって、勇俊の前に立った。


「うわあああ!」

部隊長の刀が、将拓の胸を切り裂いた。

「将拓殿!」

「うぅぅぅぅ……」

ガクッと膝を着いた将拓に、護衛長は後ろから近づいた。

将拓の胸からは、大量の血が流れ出ていた。

「大変だ。早く傷の手当てをしないと。」
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