宮花物語
「……左目が……潰れている……」
あの有能な将拓が、片目だけになるなんて……
忠仁は、床を思いっきり拳で叩いた。
その時ようやく、医者が紅梅の屋敷へと辿り着いた。
「怪我人は?」
「ここです!」
勇俊が、床を指さす。
「ほう、腹に左目か。直ぐに縫い合わすか。熱湯を用意してくれ。それと、寝台を借りる事はできますかな。」
「どうぞ。」
紅梅は、自分の寝台へと招き入れた。
「すまぬ、紅梅。」
「何を。このような事は慣れております。」
紅梅は、忠仁に微笑んで見せた。
「ところで、どなたなのです?」
紅梅の質問に、忠仁と勇俊は、顔を合わせた。
「……紅梅。誰にも言わないでくれ。黄杏様の兄君だ。」
「兄君!?」
紅梅は、口を手で覆った。
「……まさか。妃は、兄を持たない娘に限るはず。」
「いろいろ訳があってな。だが、それが白蓮様のお耳に入ったのだ。」
あの有能な将拓が、片目だけになるなんて……
忠仁は、床を思いっきり拳で叩いた。
その時ようやく、医者が紅梅の屋敷へと辿り着いた。
「怪我人は?」
「ここです!」
勇俊が、床を指さす。
「ほう、腹に左目か。直ぐに縫い合わすか。熱湯を用意してくれ。それと、寝台を借りる事はできますかな。」
「どうぞ。」
紅梅は、自分の寝台へと招き入れた。
「すまぬ、紅梅。」
「何を。このような事は慣れております。」
紅梅は、忠仁に微笑んで見せた。
「ところで、どなたなのです?」
紅梅の質問に、忠仁と勇俊は、顔を合わせた。
「……紅梅。誰にも言わないでくれ。黄杏様の兄君だ。」
「兄君!?」
紅梅は、口を手で覆った。
「……まさか。妃は、兄を持たない娘に限るはず。」
「いろいろ訳があってな。だが、それが白蓮様のお耳に入ったのだ。」