宮花物語
それを聞いた勇俊は、ここがお妃の屋敷だと言う事を忘れ、泣き叫んだ。
「泣かないでください、護衛長。」
今治療が終わったばかりとは思えない程、しっかりとした口調で、将拓の声が聞こえてきた。
「あなたのお陰で、私の命は助かりました。どうか、自分を責めないでください。」
勇俊は、床に着いた手を、震えるくらいに強く握りしめた。
そこに、涙がボタボタ落ちた。
だが今度は、将拓に気づかれないように、声を押し殺してだ。
「護衛長。いつまでもここにいる訳にはいかない。私の屋敷へ、将拓殿を運ぼう。」
忠仁に背中を叩かれ、勇俊は涙を拭いた。
驚いたのは、紅梅だ。
「父上。この者を父上の屋敷に、連れて行くのですか?」
「そうだ。」
「気はお確かか?我が家の禍に、なるやもしれぬと言うのに。」
紅梅の言葉にも耳を貸さず、忠仁は部下に、将拓を乗せた担架を運ばせた。
「お妃様。」
「泣かないでください、護衛長。」
今治療が終わったばかりとは思えない程、しっかりとした口調で、将拓の声が聞こえてきた。
「あなたのお陰で、私の命は助かりました。どうか、自分を責めないでください。」
勇俊は、床に着いた手を、震えるくらいに強く握りしめた。
そこに、涙がボタボタ落ちた。
だが今度は、将拓に気づかれないように、声を押し殺してだ。
「護衛長。いつまでもここにいる訳にはいかない。私の屋敷へ、将拓殿を運ぼう。」
忠仁に背中を叩かれ、勇俊は涙を拭いた。
驚いたのは、紅梅だ。
「父上。この者を父上の屋敷に、連れて行くのですか?」
「そうだ。」
「気はお確かか?我が家の禍に、なるやもしれぬと言うのに。」
紅梅の言葉にも耳を貸さず、忠仁は部下に、将拓を乗せた担架を運ばせた。
「お妃様。」