宮花物語
すると黄杏も、桂花に少し近づいた。

「また懐妊された時は、白蓮様にお気をつけあそばせ。」

「えっ?」

黄杏と桂花は、顔を見合わせた。

「今回の、黒音様の事。白蓮様が関わっていると思います。」

「白蓮様が?なぜ?」

桂花は、体が震えだした。

「もしかしたら、黒音様は想像妊娠だったかと。」

「想像!……」

「シッ!」

慌てて桂花は、黄杏の口元に、指を当てた。


「それを知っていて、白蓮様は黒音様に堕胎の薬を、飲ませたのです。」

「そんな!」

黄杏は、口元を手で覆った。

「案の定、黒音様はそれで命を落とされた。白蓮様が、黒音様に嫉妬し、必要以上に堕胎の薬を飲ませたのが、原因だと思われます。」

黄杏のこめかみに、嫌な汗が滲む。

「黄杏様も、ご懐妊された時には、十分にお気をつけください。」

そう言って、桂花は王宮を去って行った。


「白蓮様が?……黒音を殺した?」

黄杏は一人、頭を押しつぶされるような気がして、苦しかった。
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