宮花物語
「白蓮様のお話だと、一度懐妊したお妃から、跡継ぎは産まれると言う事だから、今の時点ではあなたの方が、確率は高そうだけれどね。」

紅梅は、お茶を飲みながら、ちらっと黄杏を覗いた。

「それは、産まれてみなければ、分からないじゃない。姫君の可能性だってあるわ。」

黄杏は、ずっと下を向いている。

「あのね、黄杏さん。私、何もあなたを差し置いて、私が国母になりたいって、言ってる訳じゃないのよ。」

紅梅は黄杏の手に、自分の手をそっと添えた。

「私がお子を授かったのは、あなたが薬草をくれたお陰だし。それにね、黄杏さんにもお子ができて、私、ほっとしているのよ?」

「そうなの?」

「そうじゃない。私一人だけお子を産んだら、黄杏さんが流産したのも、黒音さんが亡くなったのも、私が何かしたからだって、思われるじゃない!」

紅梅は、ハッとして口を押えた。

「ごめんなさい。嫌な事、思い出させて。」
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