宮花物語
「はい。」
黄杏は、それしか言えなかった。
「……本当は、私が王に、跡継ぎを産んで差し上げたかったのだけど。」
黄杏は、黙って白蓮の言葉に、耳を傾けた。
「国の為に、王を支えなければ……王妃の役目を懸命にこなさなければと思う気持ちが強くて、女として王に甘える事も、子供が欲しいと伝える事もできなかった。ましてや、他の妃の元へ行かないでなんて、口が裂けても言えなかった。」
白蓮の手が、黄杏から離れる。
「黄杏。あなたは、そんな失敗してはダメよ。お腹の御子が皇子であっても姫君であっても、どんどん王に甘えて、どんどん御子を産んでちょうだい。」
「……はい。」
そして白蓮は、小さく手を振りながら、屋敷へと帰って行った。
「黄杏様。今日も王は、黄杏様の屋敷にお泊りになられるそうですよ。御子様がお生まれになるまで、ずっと通われるおつもりなのでしょうか。」
黄杏付きの女人が、そっと伝えた。
「ええ……信志様は、そういうお方なのよ。」
黄杏も、そっと呟いた。
黄杏は、それしか言えなかった。
「……本当は、私が王に、跡継ぎを産んで差し上げたかったのだけど。」
黄杏は、黙って白蓮の言葉に、耳を傾けた。
「国の為に、王を支えなければ……王妃の役目を懸命にこなさなければと思う気持ちが強くて、女として王に甘える事も、子供が欲しいと伝える事もできなかった。ましてや、他の妃の元へ行かないでなんて、口が裂けても言えなかった。」
白蓮の手が、黄杏から離れる。
「黄杏。あなたは、そんな失敗してはダメよ。お腹の御子が皇子であっても姫君であっても、どんどん王に甘えて、どんどん御子を産んでちょうだい。」
「……はい。」
そして白蓮は、小さく手を振りながら、屋敷へと帰って行った。
「黄杏様。今日も王は、黄杏様の屋敷にお泊りになられるそうですよ。御子様がお生まれになるまで、ずっと通われるおつもりなのでしょうか。」
黄杏付きの女人が、そっと伝えた。
「ええ……信志様は、そういうお方なのよ。」
黄杏も、そっと呟いた。