宮花物語
「でもね。黄杏なら、また王の御子を授かると思うの。だって、王の寵愛が深いでしょう?」

その女神のような微笑みは、心からのものなのか、仮面のように装っているのか、黄杏には分からなかった。

「そんな事は、ありません。」

「あら、どうして?」

黄杏は、そっと白蓮を見つめた。


「奥様は、王に嫉妬したりしますか?」

突然の質問に、白蓮は目をパチクリさせる。

「……あまりと言うか、全くしないわね。」

「それに対して王は、何か申しあげますか?」

「そうね。たまに嫉妬して見せろと、叱られた事があるわ。」

「やはり。」

黄杏は、悲しげに床を見た。


「王は、私が嫉妬しても、相手にもしてくれません。」

「それは暗に、嫉妬する必要がないと、伝えたいからでしょう?」

黄杏は、鼻で笑った。

「いいえ。私の嫉妬など、目障りなのです。何人もいるお妃の一人だから。」

白蓮は、渋い顔をした。
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