宮花物語
ある日黄杏が、外を散歩していると、急にお腹が痛くなった。

「うぅぅぅ……」

「黄杏様?」

女人が、黄杏に駆け寄る。

「産まれそう……」

「まあ、大変!」

女人は直ちに、黄杏を白蓮の屋敷の中にある、医療所に運んだ。


「まあ、陣痛が始まっているだろうね。」

それなのに、産婆はのほほんとしている。

「あの……お産の準備をしなくても、よろしいのですか?」

女人が慌てて、産婆に尋ねる。

「なあに。そう、慌てなくてもよい。産まれるのは、明日かもしれんし、明後日になるかもしれん。」

「明日?明後日で、ございますか?」

黄杏は、この苦しみがまだまだ続くのかと思うと、気が遠くなりそうだった。


「黄杏様。痛みの波が、もっと短くなったら、教えて下さいよ。」

「はぁ、はあ……」

そんな事を言われても、痛みに耐えるだけで、精一杯だ。


「ほほほ。苦しかろう。皆、そういうものじゃ。」
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