宮花物語
信志は、息を止めた。

「この娘御を妃に迎える事は、既に国家の未来を担っているのと、一緒なのです。それには、この将拓殿を無かった事にしなければならないのです!」

「忠仁……」

「それとも、怖じ気づきましたか?そこまでするなら、この娘御を妃に迎えるのは、諦めると仰せか?」

信志は目を瞑り、顔を背けた。

「信寧王。」

そんな信志に、将拓を手をとった。

「私の事など、お気になさいますな。ただ身を潜めるだけでございます。それよりも、妹を幸せにしてやってください。」

「将拓……そなたは……」

「草葉の影から、あなた様と黄杏の幸せと、この国の発展を、お祈りしております。」

信志と将拓は、互いに強く手を握りあった。


「それでも、各々がた。明日の手筈を……」

そして、忠仁を中心に、明日の段取りが発表された。
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