宮花物語
そして、最後の宴の日。

小太りの女は、美麗の傷心ぶりに、頭を振った。

「あれじゃあ、王の妃候補も、あったもんじゃない。」

「しかも、将拓の死体にすがる美麗の姿を、王もご覧になってましたからね。」

想い人が死んだばかりで、傷心になっている女を妃にする程、王も人でなしではない。

王のお妃選びは、振り出しに戻ったと、噂になった。


「そうだ、黄杏。」

「はい?」

小太りの女が、配膳の用意をしている黄杏に、声をかけた。

「あんた、今日から宴に参加しろだってさ。」

これには、周りの女も驚いた。

「黄杏には、心に決めた人がいるんだよ?」

「仕方ないだろ。将拓が死んでしまって、黄杏も条件に当てはまってしまったんだから。」

事情を知らない周りの女は、黄杏でさえも、哀れみの対象だった。


そして、悲しみにくれる美麗の代わりに、黄杏が王の膳を運ぶ事になった。

手筈通りに、王の膳を運んだ黄杏に、王は興味を抱く。
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