宮花物語
第5話 妃達の戦場
正式に妃になった黄杏は、翌日、他の妃達と面会する事になった。

場所は、正后・白蓮の屋敷。

女人達の一緒に、一番遠い場所から出向く為、誰よりも先に自分の屋敷を出た。


白蓮の屋敷に着くと、広間に通された。

壁には、見た事もない、細やかで上品な絵が、いくつも描かれていた。

「こちらで、お待ち下さい。」

白蓮付きの女人に言われ、黄杏達は、広間の真ん中に用意された椅子に、座った。

他のお妃様達は、どんな人なのだろう。

馬の上で、信志から聞いた話は、あくまで信志の目を通した妃達だ。

新しい妃となると、また扱い方が違うのだろうと、黄杏は思った。


他の妃達を待って、30分。

一向に来る気配がない。

「他のお妃様達は、まだかしら。」

すぐ後ろにいた黒音が、黄杏に顔を寄せた。

「準備に手間取っているのかもしれません。もう少しお待ちしましょう。」


だが、約束の時間を、1時間過ぎても、まだ来る気配がない。
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