キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
何度も口を開けて、未来の話をしようとするのに、発音できない。話ができないのだ。
「ゆりちゃん……?」
「ごめん、理香子ちゃん……なんでもない」
どうやら、誰かに打ち明けることすら禁じられているらしい。
運命を変えることを、許されていないのかもしれない。
まるで隼人くんを救うことを、全力で神様に止められているみたいだ。
「ゆりちゃん、死なないよね?」
「え?」
「文化祭が終わったあとも、生きてるよね?」
目が点になる。
突然そんなこと言われるなんて想像もしていなかったから。
「……理香子ちゃんは美樹ちゃんに戻ってきてもらったほうが嬉しいでしょ」
「それとこれとは話が別だよ。美樹のことは心配してるし、早く会いたいけど……でも、ゆりちゃんがいなくなるのも嫌だ」
「理香子ちゃん……」
「私、文化祭が終わったあと、ゆりちゃんに会いに行くから。むこうの学校に行って、ゆりちゃんがいなかったら怒るからね……っ」
涙目の理香子ちゃんに、私はつられるように目に涙が溜まった。でも、笑った。だって、嬉しかったから。
「うん。会いにきて」
生きていたい。けれど望みはないだろう。
だけど今真実を語ったところで、誰も幸せになんかならないのだ。
だから私は曖昧な返事をして、泣きながら笑った。
造られた運命は、あまりに残酷だ。
私は死んだはずだったのに、タイムスリップして、生きた。そして出会ってしまった。大切な人たちに。
生きたいと願った。生きていてほしいと、なにを捨てても叶えてほしい願いができた。
初めての恋をした。友情を知った。
けれど、そのどの幸せもが、残酷な運命の結末までの助走、フラグ、伏線。
上げて上げて、谷底に叩きつけられる。