キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
私は神様に嫌われている。十分にわかっていたことだ。けれど、まさか、隼人くんに飛び火するだなんて思いもしなかったんだ。
私のことを嫌いな神様は、私を苦しめるために、隼人くんを消すの?
だけど、そんなこと、絶対させない。
彼の未来を奪うことだけは絶対に阻止してみせる。
そんな運命なら、抗い続けるから。たとえ、運命を握る神様を敵にまわしても。
私にできることを考えたい。
このまま、指をくわえて諦めるわけにはいかない。
***
背中の数字が二十八になったその日、私は早起きをした。早起きした理由はひとつ、隼人くんとの約束を守るためだった。
手料理を食べたいと言っていた彼のために、お弁当を作るための早起きだ。
昨夜寝る前、美樹ちゃんのお母さんに「明日のお弁当は私がつくるから」と告げた。
慣れない調理に手こずる。
あと、一ヶ月もない。あと一ヶ月もしないで、私はこの世界からいなくなる。
迫りくる最後の日に、私はなにを思うのだろう。私に、なにができるのだろう。大好きな人たちのために。
なにをこの世界に残すのだろう。
私がいなくなったあとの世界で、私が生きた証は残るのかな。
卵焼き、タコさんウインナー、ブロッコリー、唐揚げ、プチトマト、そしておにぎりを四つほど拵えた。
お昼休みにふたりで食べられるように、そして、美樹ちゃんのお父さんとお母さんの朝ごはんになるように大量に作った。上出来だ。
いつもより遅めの起床をしたお母さんがテーブルに並ぶ料理を見て嬉しそうに「ありがとうね」と笑い、寡黙なお父さんは「美味そうだ」と一言だけ呟いた。
私はそれに満足して、みんなで手を合わせて朝食を平らげた。