キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
手を合わせて隼人くんは卵焼きを箸で掴んで食べた。
「うんま!」
「ほんと?」
「ほんと。すっげぇ美味しい」
「ふふふ、よかった」
喜んでもらえて私も嬉しい。頑張って作った甲斐があるというものだ。
パクパク食べては「美味しい」と繰り返す隼人くん。私も食べながらニコニコと安心して笑っていた。
食べっぷりがよくて、言葉に嘘がないことがわかる。
また、作って来ようかな。
「ありがとう、美味しかった」
「うん。また作ってくるね」
「やった」
ニヤリと笑う彼。つられて笑う私。
お弁当箱を片付けて、いつものように空を見上げる。
これで何度目の空なんだろう。すっかり上を向く習慣がついてしまった。
あれだけ死ぬことばかりを考えていたのに。
「ゆりさ」
「うん?」
「文化祭当日は、学校を抜け出して、自分を助けに行ったらどうかな?」
「え?」
まさかの提案に、戸惑う。
「ゆりの家に行って、直接飛び降りるの止めて来なよ」
「そんなの……」
「そしたら、ゆりは死なないでしょ?」
私の生死について話をするのがあの蛍を見た日以来だったからドキ!とした。
「たぶん……」
自宅のマンションに押しかけて、飛び降りるのを無理やり阻止したら、私は死なないで済む……?
でも……。
「隼人くんさ」
「ん?」
「後夜祭でマジックショーするの、やめてくれない?」
「え?」