キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
私にはもっと大事なことがある。
「どうして?」
「…………」
「言えない?」
頷いた。話せないのだ。
話したいのに。マジックショーで隼人くんが死んじゃうって、そう言えば未来からきた私の言葉なら、信じてくれるのに。
のど元に誰かがナイフを突き立てているかのように、話せない。
手紙にしようかとも試したのだ。けれど、書くこともできなかった。
誰にも伝えることを許されない。
「ごめん。でももう決まったことだし、途中で投げ出せないよ」
「うん……」
そう言われることは、わかっていた。
文化祭当日まであと一ヶ月。マジックショーの準備も進んでいて、みんな乗り気だし、後戻りすることなんてできない。
今さら新しい案を出してみんなに納得してもらうのも難しいだろう。
命の危険があるって説明できないのだから、それ以外でマジックショーを取りやめる理由をつくることができない。
だけどまだ、諦めたくない……。
私が一ヶ月半生かされたのは、このためかもしれないから。
***
最近ひとつ疑問に思っていることがある。
ここ五日ほど、美樹ちゃんの日記が夜になっても更新されなくなったのだ。
毎日書かれてあったのに、ぱったりとなくなった。
夜になると美樹ちゃんの日記を読むのが日課になっていた私は、すこしだけ、寂しい気持ちとどうしたんだろう?という心配が入り混じって複雑な気分になっている。
そして今日はどうなのだろう?とお風呂あがりに日記を開いてみると、今日は更新されてあるようで、髪の毛を拭いていたタオルを首にかけてから、日記を読んだ。