キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
【九月二十一日。
正しいことを素直に出来る人は純粋にすごいと思う。だけど私には難しい。理香子は常に正しくあろうとする。そこは尊敬しているけど、時々モヤモヤするんだ……。
今日は朝からお母さんに怒られて起こされたから、虫の居所が悪かった。むしゃくしゃしていた。
だから、ぶつかって来たクラスメイトの奈々ちゃんにキレた。
「痛いんだけど!謝ってよ!」って。
そしたら理香子は「ぶつかったのはお互いの不注意なんだから、美樹も謝りなよ」って言ってきた。
それはそうだけど。
わかっていても、できないことって、ある。
私は、理香子みたいに優しくできない。正しいこと、できない。素直に謝ることも、お礼を言うこともできない。
理香子は無意識に「正しさ」で私を傷つける。
最近、そのことで悩んでる。こうして文字にするのもためらっていて、最近日課だった日記すら書けなかった。
明日、理香子に会いたくない……。】
読み終えて以前隼人くんが「無意識に人を傷つける人もいる」と言っていたことを思い出す。
まさか、仲良しだった美樹ちゃんと理香子ちゃんの仲に、不穏な空気が流れていたときがあったなんて……。
確かに今日、クラスメイトの奈々ちゃんとぶつかったな。お互いに謝って、何事もなく過ぎた一瞬だった。
明日、本来なら美樹ちゃんと理香子ちゃんはどんな明日を迎えるはずだったのだろう。
私が美樹ちゃんのなかにいることで、本来辿るべき道を外れているのなら、それは良いことなのだろうか?