キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
文化祭の準備は既に終わっており、マジックショーのリハーサルも終わった。
だからこそ、明日起きるであろう「事故」の原因がわからない。
危険なマジックなんてしない手筈だ。
報道の内容では、隼人くんと数名のクラスメイトが亡くなり、怪我をした人が数名いた。あんな痛ましい事故が彼のマジックショーで起きるとは到底思えない。
マジックショーは十七時から予定されている。私が飛び降りたのは二十時過ぎ。そのときにはもうニュースで報道されていた。
たったの三時間で、ことの真意が特定されるのは難しいはず。
いや……待て待て。
どうして私は事故の原因がマジックショーだと思っていた?
確かにニュースではマジックショーを披露しているときに事故があり、マジックショーをしていた男子生徒とクラスメイトの数名が亡くなり、怪我をしたと言っていた。
隼人くんの存在と文化祭でのマジックショーを全面的に推していた報道の仕方だったが……。
よくニュースを見聞きしていなかったから、あまり覚えてはいないのだけれど、確か、現地で報道していたキャスターの後ろの校舎からは煙が……出ていたっけ?
事故というのは……火事?だとしたら、どこから発火した?なにが原因で?
それを防ぐことは可能なのだろうか。私に。
「ゆりちゃん」
呼ばれてはっと顔をあげた。
リハーサルが終わり、教室で帰りのホームルームまでの時間をみんなで過ごしていた。
私は、考えごとをしていたけれど。
「明日さ、夕方から抜け出すんでしょ?」
「え?」
「隼人が言ってた。ゆりが自分を救うことができたら、死なずに済むかもって」