キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
生まれ変わらせて、くれますか?
帰りのホームルームが始まって、先生から明日は頑張ろうという主旨の話がなされ、ついに帰宅の時間となった。
クラスメイトが明日のことを、ワクワクした様子で語り合っている。その姿を横目で見ながら、私は帰り支度を済ませる。
「ゆり」
隣から、名前を呼ばれる。
見ると、隼人くんが悲しく微笑んでいた。
切なさが空気に現れていて、止めることのできない呼吸から心に流れ込んできたかのように、心が淡いブルーになる。
「一緒に帰ろう」
「……うん」
このとき、私ももしかしたら、同じような笑みを返してしまっていたのかもしれない。
そのことに気づいたのは、校門を出てすぐのことだった。
無言が続き、でも、そんなに居心地の悪さを感じないところがまたいい。
隼人くんの隣はいつだって、居心地がよかった。
ふたりの足音が響く。夕方の田舎町。乾いた地面に足が擦れると、砂埃がすこしだけ舞う。
あと少し長くここにいられたら、綺麗な紅葉が見られたかもしれない。
ふと周りの景色を見ながら、そう思った。
「明日……だな」
「うん」
「楽しみだな、文化祭」
「そうだね」
会話が、続かない。
お互いに言いたいこと、伝えておきたいことは山ほどあるはずなのに。
言葉にならない。