キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


「明日、一緒にまわろうな」

「うん」

「焼きそばもあるし、たこ焼きもあるし、他のクラスはカフェもするらしいから甘いものもあるぞ」

「たくさん食べて太ったら、美樹ちゃんに怒られないかな……」

「大丈夫だよ。……たぶん」

「たぶんかぁ」



肩を震わせて笑う。隼人くんも可笑しそうに笑っていた。


肩を並べて歩くふたりの影が伸びている。
他愛のない話。
ふたりの笑い声、交わる視線。


そのどのあとにも、哀愁がくっついている。そんな感覚がしている。


耳元で時計の音がしている。刻一刻と近づいていっている終わりのとき。カウントダウンされている感覚に、焦りたいのに、変に穏やかで気持ちが悪い。



「送ってくれてありがとう」

「ううん。また明日な」

「うん。また明日」



自宅に到着してしまった。家の玄関前で小さく手を振る。


帰っていく隼人くんの後ろ姿を見えなくなるまで見送った。


話したいことの本質は、お互いに口に出せなかったね。
ふたりとも、「明後日」の話がしたかったに違いない。


私だけかもしれないけれど。


私がいない明後日がくる。
私がいなくなる、未来がすぐそこにある。


すこし、怖い。


死んだら、人はどこに行くのだろう?
天国?


それとも、すべて消えるのかな。


記憶も、意識も。空の上から微笑んで大好きな人たちのことを見守ることも、できないのかな。


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