キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
『ゆりちゃん、お願い。運命を変えて』
【side*M】
初めて自分の感情をコントロールすることが難しいと感じたのはいつだったか。
気づいたら、自分が怪物みたいになっていた。
むしゃくしゃしていた気持ちを、すべて理香子への嫌がらせで発散していた。
理香子の教科書に落書きをして、理香子のペンケースを隠して、影で悪口を言う。
そしたら私のなかのモヤモヤが綺麗にスッとなくなっていくものだから。
その軽くなった心の感覚をまた味わいたくて、ひとつ、またひとつと、嫌がらせを重ねていったのだった。
ターゲットを理香子にしたのは、ある日された理香子の指摘にムカついたから。ただ、それだけだった。
その日は特に、母親から「早く起きなさい!」って怒鳴られるように起こされてムカムカしていた。
だから意気揚々と私の間違いを指摘してきた理香子のことが「うざい」と、思った。
いい子ちゃんでいられて、理香子はいいよね。
どこまでも真っ直ぐで、優しくて、いつも正しくて。
私が持ってないものを、たくさん持っているんだもの。
……だから。
ちょっとくらいいじめたって、いいじゃない。
どうせ死ぬわけじゃないし。
すこし悲しい思いをすればいい。悔しい思いをしてよ。
私と、同じように。