キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
自分の悪すぎる性格に、嫌悪感を抱くどころか開き直ってしまったのだ。
ああ、おかしい。困ってる。悩んでいる。制服を隠したのは、理香子が一番信用している私なのに。
このとき、心の中にあったモヤモヤとイライラがすべて消し飛んだ。スッキリしたのだ。
次の日も、次の日も。いじめたくなる衝動を抑えられなかった。
自分の中の不満やストレスを、いじめで発散することでしか自分の精神状態を保つことができなくなったのだ。
最初は誰がやってるのかわからないように。誰にも見られないように、理香子のものを隠した。ノートに落書きをした。
理香子のことは避けて続けていた。大嫌いになったから。もう、仲良くなれる気がしなかったから。
「話したい」
「私に悪いところがあるなら、直すから」
何度話しかけられても、いくつもスマホでメッセージを受け取っても無視をした。
どこまでも優しく汚れのない理香子に、正反対な自分を見る。
どこまでも意地悪で性格が悪くて、汚れている自分。
積もったモヤモヤは、意地悪で発散する。
そうやって私と理香子の関係は崩れ去った。
クラスメイトも私に倣うように理香子のことをいじめるようになった。
みんなも本当はもっと早く誰かのこと見下したかったんじゃないの?いじめたかったんじゃないの?蹴落として、自分のことを守って、カースト上位になりたかったんじゃないの?
いじめはダメですよって常識がそれを邪魔してるだけじゃないの?
それをしたら、人間としてダメになるって自制して生きてるんじゃない?
本当は心の中に、誰でも悪魔を飼ってるんじゃないの?
私はそれに素直に生きているだけ。なにも悪くない。悪い風潮にしているのは、本当はその心があるのに、隠して良い人を装っている偽善者のせい。
弱肉強食って言葉がある。いじめられるやつは、ただ、弱いだけ。
悔しかったら、強くなればいいのに。そしたら食われない。
いじめなんて、されないんだから。
***
文化祭当日。私は朝から熱を出した。三十八度あって、普通の授業なら迷わず母に申告して学校は休むのだが、今日は違う。
高校生になって、初めての文化祭。ずっと楽しみにしていたのに、休めるはずがない。
だからフラフラになりながらでも学校へ行った。
クラスでの焼きそばとたこ焼き、それからソフトドリンクの販売。
だいぶ気分はよろしくなかったのだけれど、クラスメイトたちと楽しく過ごしていた。