キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


握っている花束を見る。よく作り込まれているが、造花みたいだ。でも枯れることもないし、これはこれでいいのかもしれない。


このままずっと、綾瀬美樹としての人生を歩んでいくのかな、私。


新垣ゆりなんて捨てて、生まれ変わりたいと思ったのは私だ。
だけど、たとえ姿形が変わっても、私はまだ新垣ゆりのままだ。


臆病で、人とのコミュニケーションの仕方をまるで知らない。


うまく笑えないし、感情をどう表現したらいいのかさえ、わからないのだ。


こんなんじゃ、生まれ変わったなんて、言えないよ。


こんなのを望んでいたわけじゃない。


すべてを忘れたい。記憶も消してほしい。そしたら純粋無垢な私が、いるかもしれない。


いじめられて、自信を喪失した、私なんか……好きになれっこない。誰からも、好かれるわけない。


私は、私が嫌い。大嫌い。


変わらなきゃ、また、いじめられるに決まっている。
なのに私は、私のまま、見た目だけ変わっている。


こんなの、意味ない。


殺してよ。私を。消して、この世界から。


一ミリも残さないで、この世界から抹消してほしい。


< 13 / 145 >

この作品をシェア

pagetop