キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
握っている花束を見る。よく作り込まれているが、造花みたいだ。でも枯れることもないし、これはこれでいいのかもしれない。
このままずっと、綾瀬美樹としての人生を歩んでいくのかな、私。
新垣ゆりなんて捨てて、生まれ変わりたいと思ったのは私だ。
だけど、たとえ姿形が変わっても、私はまだ新垣ゆりのままだ。
臆病で、人とのコミュニケーションの仕方をまるで知らない。
うまく笑えないし、感情をどう表現したらいいのかさえ、わからないのだ。
こんなんじゃ、生まれ変わったなんて、言えないよ。
こんなのを望んでいたわけじゃない。
すべてを忘れたい。記憶も消してほしい。そしたら純粋無垢な私が、いるかもしれない。
いじめられて、自信を喪失した、私なんか……好きになれっこない。誰からも、好かれるわけない。
私は、私が嫌い。大嫌い。
変わらなきゃ、また、いじめられるに決まっている。
なのに私は、私のまま、見た目だけ変わっている。
こんなの、意味ない。
殺してよ。私を。消して、この世界から。
一ミリも残さないで、この世界から抹消してほしい。