キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


人は、いつか、絶対に死ぬ。


死ぬときを自分の手で早めるには、まだやれることがあるかもしれない。決められた寿命がくるそのときまで、可能性を模索する時間があってもいいんじゃないかな?


生きることは、難しい。ただ息をして、寝て、起きて、歳を重ねていくこと。それだけじゃない。そこに自分と自分以外の人の感情が絡まって、混乱して、迷い、苦しむ。


それはこの世界に自分以外の人が生きてる限り、続いていく。避けては、通れない。だから、また、同じ苦しみが待ち受けているかもしれない。そのリスクはどうしても取り除けない。


だけど、同じように。
これから先、なにがあるかわからないからこそ、幸せが待っているかもしれないんだ。


その可能性を捨てるには、私たちはまだ、若い気がするの。



「でも……このままずっと、人を信じられなかったら……」

「私のことは、信じてくれたでしょ?」

「……っ……」

「だから、私に手紙をくれたんだよね?」



ゆっくり、理香子ちゃんに近づく。
前のときとは違う。
今度は私が、手を引く番。



「そうだけど……」

「きっと現れるよ。信じられる人。私も理香子ちゃんのこと、信じてる」



手を伸ばす。理香子ちゃんが私の手を掴んだ。


飛び降りて死んだ。二度目も、飛び降りて死のうとした。
その私が死のうとしている女の子の手を引いて、助けようとしている。


たったの、四十九日間で。


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