キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。



「なんで黙って行くんだよ……っ」

「ごめん」

「一緒にいよう。最後まで」



隣に来て、手をぎゅっと握られる。力は、あまりに強い。


涙は、流さないつもりだった。悲しくないから。
だけどきみがそばにいると、寂しくなるの。わかるでしょ?


大好きな人とのさよならは、したくない。



「夕方のこと、安田さんから聞いたよ」

「……うん」

「だから行かなかったんだね?」

「うん、ごめん」

「謝らないで。ゆりは、強くなれたんだから」

「生きられなくてごめんね」

「ううん。大丈夫」

「短かったね。この一ヶ月半」

「ほんとうだよ」

「私がこの世界から消える前に生きたいって思えてよかった。恋ができてよかった」

「うん」

「全部、隼人くんのおかげ」

「ゆりが頑張ったんだよ」

「そんなことない。……ねぇ隼人くん。夢、叶えてね。私には夢はできなかったけど、いまの私の夢は隼人くんが夢を叶えることだから」

「頑張るよ」


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