キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


僕はいったい、誰に会いたいんだろう……。



***



《side*R》


死にたい。死にたい。死にたい。
そう、想い続けていたはずなのに。
すっかりその気持ちが抜け落ちてしまった。


目覚ましが鳴るより早く起きてすぐ、私は空を見た。
太陽が燦々と輝いていて、すごく眩しくて、目が痛んだ。


なんでこんなにも「生きたい」んだろう……?


もう誰のことも憎くない。ううん、違うな。諦めに近い感情を抱いている。私は、あのクラスに馴染むことを諦めたのかもしれない。



「ねぇ、お母さん」

「なに?」

「私、転校したい……」

「え?」



朝食を作る母に話しかけた。
本音をぶつけた。いじめられていることも話した。
泣きながら聞いてくれた母が「そうしよう」と賛成してくれた。


どうして私は死にたかったんだっけ?
忘れた。
転校して環境を変えて、私は逃げてでも生きてやる。


いじめでなんて、死んでやりたくない。
だって、悔しいじゃない。


私の未来を、クラスメイトたちに奪われるのは。



「行ってきます」

「無理に行かなくてもいいのよ」

「ううん。大丈夫」



私は、もう、大丈夫。
生きて、生きて、生きていくんだから。


死にたくなっても、死にたいままでも。


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