キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


「そろそろ戻ろう、綾瀬さん。チャイムが鳴っちゃう」

「……うん」



彼が立ち上がって、私も続いて立ち上がった。
屋上を後にして教室に向かう。そういえば彼の名前を私はまだ知らない。でも顔見知りみたいだし、名前なんて聞けない。


そしたら彼が私が目指していた教室に入ったからまた驚く。クラスメイトだったのかと。


そりゃ変に思われるに決まっている。こんな暗くて人との関わり方を知らない女の子は、いないだろうし。


それに友だちの理香子ちゃんも、可愛くてハキハキと喋るハツラツとした女の子だった。そんな子を友だちとしてもつ美樹ちゃんが、こんな女の子なわけないんだ。



「美樹、大丈夫?体調悪いの?」

「ううん、大丈夫だよ。ありがとう」



席に着くと、花束をかばんのなかにしまった。そして近づいてきた理香子ちゃんが心配したように両眉をひそめて話しかけてくれた。


私は取り繕った顔でお返事をする。うまく笑えているか、わからない。もう随分と笑っていないから、感覚を忘れてしまっている。


ほんと、情けない。


口を開いた理香子ちゃんがなにかを言いかけて、それを遮るかのようにチャイムが鳴った。
クラスメイトが着席していく流れに乗って、理香子ちゃんはなにも言わずに自分の席へ戻っていった。
そのことに安堵する自分がいた。なにを言われるか、考えると怖かった。


そして、隣の席に腰を下ろした人物に身体が硬直した。



「……っ……」



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