キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
***
約半年前の四月六日。私、新垣ゆりは無事に乗り換えた受験で合格した高校へ入学した。
憧れだったブレザーの制服、華の高校生。
中学までの私は地味で派手ではけしてなかったけれど、それなりに慎ましく生きていた。
数人の友だちと教室の隅で仲良くするタイプだった。地味だと陰口を言われたり目立つ存在の子たちから白い目で見られていたことは知っていた。だけど大きな危害もなかったし、平凡な毎日だったけれど、それだけで十分だと思っていた。
誰もが羨む幸せも、喜びもいらない。普通でいい。このままでいい。地味で、目立たなくていい。
これからも私の人生はそのように過ぎていくと思っていた。その、はずだった。
「新垣さんって、ほんと幽霊みたいだよね」
高校に入学して二週間。棘がある言葉が飛んできて、そのまま私の心臓に突き刺さったかのように胸のあたりが痛んだ。
目があったのは、同じクラスの坂本杏梨ちゃんだった。彼女はうちのクラスの中心人物といっても過言ではない人で、いつもたくさんの人に囲まれている女の子だった。男の子からも、女の子からも。いつも輪の中心にいて、カーストの最高位にいる人物。
坂本杏梨ちゃんとその近くにいる女子数人がニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながらこちらを見ていて、最高に居心地が悪かった。
「ホラー映画のお化け役とか向いてるんじゃない?」
「同じクラスに幽霊がいると思うと怖いよね」
堂々と、みんなに、私に、聞こえる声でわざとらしく言われる自分のこと。