キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
恥ずかしくなって、居たたまれなくなった。けれど足がすくんで、動けなかった。
逃げたいのに、逃げられない。ドクドクと心臓が過敏に動く。血液は全身に送られているはずなのに、手足の先端から冷えていく。
まるで生きている心地を奪われているかのよう。
周りのクラスメイトもそれに便乗して、膨らんでいく会話のなか、私の存在がどんどん私からかけ離れていく。
不健康な白い肌、肉づきがまったくない身体。長い黒い髪。ツンとした強い目。私の見た目のコンプレックスは、ことごとく攻撃の対象らしい。
「俺ら幽霊と同じクラスなのか」
「あはは、やばっ」
男子たちの笑い声。
「幽霊だって」
「やばぁ、こわぁ」
女の子たちの、無駄に面白そうな口調。
それは、気が遠くなるような時間だった。本当に幽霊になってしまえば、ここからすぐにいなくなれるのに。
それからというもの、私への幽霊いじりはクラスの日常になった。
「今日新垣さんいなくない?」
「うちら霊感ないし、幽霊なんかそもそも見えないよ」
「あ、そっか!」
教室にいるのに、見えないフリをされた。
「新垣ゆりって誰だっけ?」
「知らなーい」
存在を、消された。
わざとぶつかられたり、物を隠されたり、机の上や上靴をびしょびしょに濡らされたり、いじめはどんどんエスカレートしていく。
SNSにも悪口を書かれた。
【幽霊いじり、最高】
【後ろの席が幽霊だからか、時々鳥肌が立つんだよね】
【本当に消えればいいのにねぇ】
ズタズタに心を切り刻まれる毎日。もう、限界だった。毎晩毎晩ひとりで泣いた。泣いても泣いても、枯れない悲しみ。尽きない苦しみ。癒えない痛み。