キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


同じ世界に私がふたりいるってこと?

四十九日前の今日、私はなにをしていたっけ?


夏休みが終わって、はじめての登校日。長期休みを経て、私に向けられていた悪意の矛先は丸みを帯び、あわよくば無くなっていることを願っていた。


少しの期待と、大きな不安で心が押しつぶされる思いで学校へ足を運んだことを覚えている。


裏切られたのは、言わずもがな。
そうでなければ、私は身を投げたりしなかった。


椅子から立ち上がってタンスから部屋着と下着を探り当てたあと、言われた通りにお風呂場へ向かう。


脱衣所には母が置いたのか、タオルが準備されてあった。なにも考えずに服を脱いでいく。


露わになった身体。今まで見てきたものとあまりに違いすぎて、やはり気が遠くなる。ほどよく肉がついていて、背が低いながらに、スタイルがいい。


風呂場へ足を踏み入れて、シャワーからお湯を出す。すると勢いよく出てきた水。数十秒間待つと、それらから湯気が出てきたので、熱くなったのがわかった。


とっくに過ぎ去っていた夏に舞い戻ってしまった。汗ばんでいた身体。本当の私より健康的な身体である美樹ちゃんの身体を労わるように洗っていく。


ふとそのとき、取り付けられている鏡に映る自分の姿に違和感を覚えた。
自分の背中、もっと詳しくいうと、左の肩甲骨のあたりに黒いなにかがあったのだ。


なんだろう?と、鏡に近づいてよく見てみると、そこには数字の"4"と"9"が横に並ぶように記されていた。


落書きだろうか?こんなところに、誰が?


ボディソープと垢すりを使って擦ってみるけれど、全然消えない。薄れることもない。まるで、タトゥーかのように皮膚に刻まれている様子。


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