キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
どうしてここまできて、まだ生きなきゃならないの?
辛いのに。苦しいのに。逃げたいのに。
もう、どうやったって修正なんてきかない。できない。したくない。
やり直しなんてできないのに。
悶々とした、行き場のない憤り。
すんなりと死なせてくれない、往生際の悪い運命が恨めしい。
それとも、これも神様の悪戯だとでもいうのだろうか。
歯を食いしばり、溢れそうな涙を我慢すると喉が潰れるように痛くなった。
「美樹ー!起きてるのー!?」
「……っ……」
部屋の前、襖のすぐ向こうからした母の呼び声。私は「起きてるよ」と声をかけた。
震えた声は、美樹ちゃんのもの。高くて透き通ったような声。小さくて低い新垣ゆりのそれとは違う。
学校へ行きたくなかったけれど、行かないという暴挙にでられるほど、気が強いわけじゃない。
気が乗らないまま、制服に着替えてリビングに向かった。
朝食は昨夜にも食べた肉じゃがだった。二日目でも変わらずに美味しかった。本当の母より、甘い味つけだった。
「行って来ます」
家を出る。田舎のでこぼこ道。空の青、白い雲。緑の青臭い匂い。澄んだ朝の空気、風。
学校までの通学路。いつまでも代わり映えしない景色。田んぼ、住宅、たまに赤い自販機。けれど売り切れているのがほとんど。
歩いて、たどり着いた学校。教室に行く気にはなれずにそのまま屋上に向かった。
隼人くんがいることを期待した。