キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
たくさんの悪意のなかで過ごした半年間は私から生きる力を奪った。
だから私は、誰かを傷つけたくない。どんな形であれ。
私の意思ではないとはいえ、美樹ちゃんの中にいることで理香子ちゃんを傷つけるのなら、できるだけ私はそうならないように尽くしたい。
美樹ちゃんの身体から出られる努力をしたり、理香子ちゃんにどんな配慮ができるのか、考えたい。ちっぽけだけれど。
そういう人でありたい。
***
「え!?どんな組み合わせ!?」
「お前ら、まさか付き合ってんのか!?」
隼人くんに続いて、教室に入った。
一緒に遅れてきた私たちのことをヒューヒュー大袈裟に囃し立てるクラスメイトに、隼人くんが「そんなんじゃねぇから」と、ふんわり笑って答えていた。
私は身体をできるだけ小さくして席に着く。
注目を集めてくれている隼人くんを見つめるたくさんの目線のなかで、唯一私を見る視線があった。
理香子ちゃんだった。
目が合い、理香子ちゃんの瞳が揺れた気がした。
目線を落とされて、目をそらされる。だけどもう一度目が合った。
私は意を決して理香子ちゃんのほうへと歩み寄る。
怖い。どうやって話を切り出すの、私。なにも決めていないのに。
「……理香子ちゃん」
「……なに?」
戸惑っているのは、私だけではないのかもしれない。理香子ちゃんを見て、そう思った。
手が、震える。誰かに話しかける行為が久しぶりすぎて、普通の人ならなんでもないことのはずなのに、当たり前にできない自分が不甲斐なさすぎて辛い。