キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


顔を俯けて、目をつむった。


「……昼休み、時間くれませんか」

「え?」

「あの、話したいので……」



カタコト。ロボットのような話方になってしまって、恥ずかしい。
目線だけを上げてちらっと彼女を見ると、目を繰り返し瞬かせていた。



「わかった。昼休みね」

「うん」



目が合う。微笑まれて、恥ずかしくなる。


理香子ちゃんはきっと、とても優しい人だ。わかる、伝わってくる。不審に思っている私に優しく笑いかけてくれるのだから。


緊張していた心がじわじわとほぐれていく。


席に戻って、一時間目の英語の教科書を取り出していたときだ。ふと隣の席から届く眼差しに気づいて横を見た。


隼人くんが息をこぼすように笑った。


どうして美樹ちゃんの周りは、こんなに優しい人たちで溢れているのだろう?


私のいた学校にも、ふたりみたいな優しさで溢れた人たちがいたら、私も苦しまずに済んだのかな……。


それとも、見た目が美樹ちゃんだからだろうか?
幽霊みたいな不気味な見た目をした新垣ゆりだったら、今、私は優しくしてもらえているのだろうか?


卑屈になる自分の思考回路に嫌気がさした。素直に優しさを受け取れない自分の感性の歪みに、苦しくなる。


だけどどうしても、ありのままの私を好きでいてくれる人なんていないんじゃないか、と、そう考えてしまうのだ。


見た目が美樹ちゃんだから、愛される容姿だからこうなっているのだと、新垣ゆりとしての自分を否定してしまう。


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