キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
きみは、世界のヒカリだから
朝。背中の数字が四十五になった。
今日は日曜日なのだけど、学校へ行くときよりも早くアラームをセットしていた。
隼人くんとの約束があるからだ。
美樹ちゃんには申し訳ないのだけど、タンスやクローゼットの中身を出して洋服を吟味する。
おしゃれなんて気を使ったことがないから、わからない。
ただ、美樹ちゃんの服の趣味はかなりガーリーのようで、レースがあしらってあるスカートやワンピース、肩の部分が透けているものが多い。
色も白黒もあるけれど、淡いピンクやパープルといった私が着たことのない色のものがほとんど。
どうしよう……。
頭を抱える。隼人くんに、ダサいなんて思われたくない。あわよくば、可愛いって思ってもらいたい。だけれど、私が着るには多少勇気のいるものが多いのも事実で頭を悩ませる。
考えて考えて、もうこれ以上吟味している時間がないと追い込まれたのちに白のワンピースを着ることにした。腰の部分に黒のベルトがあってとても可愛らしい。
美樹ちゃんの見た目だからこそ、似合う洋服だ。新垣ゆりが着ても、きっと似合わない。それこそ白のワンピースだなんて貞子だとバカにされそう。
「どこか行くの?」
「うん、ちょっと」
朝ごはんを食べていると、おめかしした私を美樹ちゃんのお母さんが不思議そうに見ていた。
なんと説明したらいいのかわからなくて、はぐらかす。
娘が男の子とふたりで出かけるって……なんとなくだけど言いづらい。
別にやましいことをするわけでもないのに。
「気をつけてね」
「行ってきます」
見送られて家を出た。
夏が終わって、秋になろうとしている。
まだ日差しは強いけれど、真夏の炎天下に比べればどうってことない。