キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
今朝方、日が昇り始めたあたりで、すこしだけ雨が降っていた。ほんの一時間程度。庭の花壇が濡れていて、いまも、歩いている地面が湿っている。
すこし遠くに目線を向けると、太陽の光が反射して、草木がキラリと光って見えた。
十時に駅で待ち合わせをしている。美樹ちゃんのスマホが隼人くんからのメッセージを受信したのは、金曜日のこと。
二時間かけて帰宅し、一息ついたときにスマホが振動した。
【お疲れ。日曜日の件だけど、十時に駅で待ち合わせでよろしく。】
【ありがとう。了解です。当日は、よろしくお願いします。】
ただそう、メッセージアプリを使ってやりとりをするだけで緊張した。画面越しのコミュニケーションなのに。
生まれて初めて好きな人ができたから、知らなかった。
変に思われないか、文章を考えるのも、服装を決めるのも一苦労。
世の中にはこんな幸せな気分になる苦労もあるのか。
これから会うけど、隼人くんはどんな格好をしているのかな。どんな気持ちで待ち合わせしてくれているのかな。すこしは私みたいにワクワクしてくれていたり、するのかな。……なんて。
金曜日にも利用した無人駅の前。見覚えのある後ろ姿に胸が高鳴る。
駆け足で近づくと、不意に振り返ったその人物と目線がバチッと合う。
案の定、隼人くんだった。思わず立ち止まる。
「あはっ、おはよう。ゆり」
「おはよう、隼人くん」
「行こっか」
「うん」