キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
にこやかに微笑まれて、私は閉じそうになる瞼を何度もこじ開けた。けれどその努力もむなしく、いつの間にか眠ってしまっていた。
「ゆり……ゆり、ついたよ」
「……?」
そのことに気づいたのは、隼人くんに優しく肩をさすられ、起こしてもらったときだ。
冴えない頭と目。隼人くんの後に続いて下車して、改札を抜けた後、広がった見覚えのある景色に目を見開いた。
そこは一昨日も訪れた駅だった。そういえば私が通っていた学校から徒歩圏内に大きな病院があったことを思い出す。
もしかして、ボランティアで行っているという病院ってそこのこと?
「行こうか。もう少しだよ」
「うん……」
歩幅を合わせて歩いてくれているのが伝わってくる。
風に煽られ、ワンピースの裾がふんわりと揺れる。
時刻は正午。
歩道に並ぶ木。その隙間から溢れる太陽の明かり。
特別な会話がなくても、流れる時間は至極穏やかで居心地がいい。このまま、時間が止まってしまえばいいのに……って、願ってしまうほどだ。
それから十分弱ほど歩き、たどり着いた病院。敷地内に足を踏み入れ、エレベーターで一番上の七階まで上がった。
「看護師さんたちに挨拶してくるから、ちょっと待ってて」
「うん」
エレベーターを降りてすぐにあるちょっとしたスペースに私を座らせて、ここから様子を伺えるナースステーションに隼人くんが笑って挨拶をしていた。