キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
爽やかな好青年。誰がどう見たって、そう感じることのできる人あたりの良さ。
見ていてとても癒される。彼の周りからマイナスイオンが放たれているのではないかと思うほど。隼人くんの笑顔があれば、いくらでも頑張れそう。
そんなことを黙々と脳内で繰り返し考えこんでいると、不意に振り返った隼人くんと目が合って驚く。無意識に隼人くんを見つめてしまっていたことに気づいたからだ。
「どうかした?」
「う、ううん……っ」
顔をうつむかせて、首を横に振った。
隼人くんのことを見ていたことが、隼人くんにバレるのはさすがに恥ずかしすぎる。
「じゃあ……さっそくだけど行く?」
「うん!」
リュックからいかにもマジシャンですよと言わんばかりよ黒いハットを取り出した隼人くん。
にやりと笑ってかぶった後、七階にある病室全部をひとつずつまわった。
「あ!マジシャンのお兄ちゃん!」
「今日はどんな手品してくれるの!?」
訪れた先の部屋ではたくさんの手品が披露され、子供達の笑顔が咲いた。
どうやら七階は小児病棟らしく、どの部屋にも小学低学年の子から中学生ぐらいだろうか、すこし大きな子もいた。
個室の男の子にも、女の子にも、ゆっくり、丁寧に説明をして手品を行なっていた。
呼吸器が繋がれてあって、うまく声を出せない子もなかにはいたのだが、耳を近くに寄せて一生懸命に言葉を拾う隼人くんの姿に感動する。
やっぱり、隼人くんの夢ってすごい。
同じ年なのに、こんなに素晴らしい夢を見つけて、心優しい人間としてこの世界に生きている。彼の存在が尊い。