キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
想像だけはいっちょまえ。
「僕さ……」
「うん」
ジャリ。靴と地面が擦れる音。隼人くんと向かい合う。
「この先もずっと、ゆりに生きててほしい」
はっと、息を飲む。風はない。
でこぼこ道の途中。田んぼと細い川に挟まれたこの場所。
頭上には満天の星空。
遠くでは、家屋の電気がぽつぽつと見えるだけ。
周りはとても静かだ。本来なら鈴虫の音や、川の水が流れていく音、自分の心臓や隼人くんのちょっとした息づかいが聞こえるはずなのに。それらが一切聞こえない。
「ごめん。今から言うこと全部、ゆりのこと傷つけるかもしれない。だけど聞いてくれる?」
こういうところだ。彼が優しいのは。
ちゃんと選択肢を与えてくれる。
私は、隼人くんのことを信じている。
だから深く、頷いた。たとえ傷つくことになっても、隼人くんの言葉を聞きたいと心から思った。
「……ゆりのこと、好きなんだ」
呼吸が止まる。息がまともにできなくなる。時間にすると一秒ほどだった。だけど、永遠に似た時間だった。
「消えないでほしい。一年後も十年後も……生きててほしい」
切なる願いなのが伝わってくる。自意識過剰なんかじゃない。
「私なんか……」って自分のことを下げてしまう以上の誠意で、真っ直ぐに彼の言葉が心の中に飛んでくる。
「ごめん。本当にごめん。困らせると思う。でも、ゆりがいなくなるなんて嫌なんだ……」
「うん……」
「おかしいよな。出会って少ししか経ってないのに。こんなに好きだなんて。でも、好きなんだ」