キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
空手の選手のように両手で気合いを入れると、それを見た隼人くんが「まーた可愛いことしてる」って無邪気に笑った。
「ゆり」
「え……?」
甘く、名前を囁かれ、後頭部にまわる手。そのまま強く抱き寄せられた。
いきなりのことで軽くパニックになってしまう。
「あはは、顔真っ赤!」
少し距離ができ、彼が私の顔を見た。
案の定指摘され、両頬を両手のひらで包む。恥ずかしくて逃げ出したい気分。
「隼人くんの意地悪……」
「好きな女の子相手だと、男の子はみんなそうだよ?」
そう、なの……?
「ほら、ゆりもしてきていいんだよ?」
「……っ……」
背の高い隼人くんが私の身長に合わせて屈んで両手を広げる。
そしてまるで小悪魔のように、首を傾げた。
待っている。これは、抱きつくまで終わらないやつだ。あざとい。
「……〜〜っ!」
そして私は意を決して、目を思い切り閉じてから彼の胸に飛び込んだ。
は、恥ずかしすぎる……!なんだこれ……!
すると隼人くんが「ああ、もう、ばか」と私の身体をきつく抱きしめ返した。
「かわいすぎ」
「…………」
そんなことないって言おうと思ったけど、そう言ったらそれを今度は否定される未来が見えた。
だから私は黙ってしがみついていた腕に力を込めた。