キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。


文化祭のことでみんなが楽しそうに話しているなか、私はひとり、なにも言葉を発せないでいた。


はっきりと思い出して、私。あのとき見ていたニュースの場所は、ここだった?
死亡した男子生徒の名前は、──隼人くんだった?


どうして真剣に見なかったんだろう。そしたらこんなに不安にならずに済んだのに。ただの偶然だって、安堵できたのに。


ただ、同じ日にちに、文化祭で、マジックショーをするだけだって。


だけど……マスコミからのインタビューに受け答えしていたクラスメイトたちの背景は、田舎の風景だったかも……しれない。


はっきりと覚えているわけではないのだけれど、ここ、だったかも。だって、こんな田舎町、今時珍しいから、一度見たら忘れるわけ……。


記憶の端にある真実に目を背けたくなる。


そんな、まさか……。
十月十九日に死ぬのは、私だけじゃない……?


隼人くんも死ぬ──?


心臓が痛い。心も、痛い。呼吸ができなくなる。



「……ゆり?」



はっとする。
隣を見ると、隼人くんが私の顔を心配そうに覗きこんでいた。



「どうしたの?」

「ううん、なんでもない……」



得意ではない作り笑いを顔に貼っつけた。
隼人くんは納得した顔はしなかったけれど、それ以上聞いてくることはなかった。


気が動転している。隠しきれた自信はない。


こんな運命って……ありですか?
神様は、やっぱり私のことが嫌いなのでしょうか?


私はこの世界から消えても構わない。

だけど、彼だけは──。


どうか、どうか、奪わないでください。

彼は、この淀んだ世界で数少ない私の光。


生きていてほしい。

この先何年も、何年も。


笑っていてほしい人なんです。



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