キミの生きる世界が、優しいヒカリで溢れますように。
生きて、生きて、生きててほしい人。
私のぶんまで。たとえ私を、忘れても。
なにに代えてもいい。きみが生きていてくれるならそれでもいいと思える人なんです。
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次の日から、本格的に文化祭に向けての準備が始まった。
看板作りに、当日の客席の配置決めや、お揃いのエプロンをつけて営業しようとなったのでデザイン作りからのスタート。あとはメニューの価格設定やPOP作成など、細かなことを含めると、やることは山積みだ。
それぞれ役割り分担をして、各自一生懸命に作業を進めていく毎日。
背中の日付も、いっきに進み三十五になった。
ふと教室の天井を仰ぎ見て、深い息を吐いた。
「大丈夫?」
「えっ?」
理香子ちゃんに問われて完全に気を抜いていた私は思わず声を漏らした。
「ちょっと休憩しよ」
「うん」
理香子ちゃんとベランダに出る。
すこしだけ涼しくなった気温。そよ風が肌に触れて、モヤモヤしていた胸やけが少しだけおさまる。
大切な人が死ぬかもしれない。大切な人の未来が失くなるかもしれない。夢が、叶わなくなる。
そのことを考えると、夜も眠れない。涙も、溢れ出てくる。
私は、こんな悲しみを両親に背負わせてしまったのかと、こんな形で思い知るなんて。
申し訳ないと思ってはいたけれど、いじめられていた理由が大きすぎてどこかで「仕方のないこと」だと、両親の気持ちを切り捨てていた節がある。
愛する人には、どんなことがあっても生きててほしいのに。
「ゆりちゃん最近変だよ。どうかした?」
「……うん」
このタイミングで、洗いざらい全て話してしまおうと思った。自分ひとりで抱えるには、荷が重すぎる。
けれど、いざ話そうとすると、喉がキュッと締まって、声が出せない。