Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘

そんな友梨佳にチラリと目線を向けた後、始は口を開いた。

「こないだ、ＭＩＹＡＴＡグループに乗り込んできた」

「はあ？」
あまりにも意外な言葉に、友梨佳は自分の間抜けな声に慌てて口元を押さえた。
「まあそういう反応になるよな……。お前も噂で聞いてると思うけど、芳也は……社長はＭＩＹＡＴＡの社長の息子だ。お兄さんの健斗さんが副社長をしてる」

「聞いたことあります」
友梨佳は静かに答えると、始の続きを待った。

「まだ芳也が高校生のころ……健斗さんといろいろあって……それ以来芳也は実家からも、健斗さんとも距離をおいている」
そこで始は言葉を一度止めた。

「お兄さんと？」

「ああ、芳也が健斗さんの彼女を奪うような形になって……。芳也が健斗さんを見返すために奪った事がその彼女にバレて……彼女が自殺未遂をした」

「え……」
言葉を失った友梨佳を見て、始も顔を曇らせるとナッツを口に入れた。