Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘
「俺が見る限り、水崎と一緒に過ごすようになって、芳也は変わった。明るくなったし幸せそうだった。あれが好きという気持ちでないのならなんなんだ?そう思うぐらいあの二人は自然で幸せそうだった。だから……俺は健斗さんに芳也を許してくれるように頭を下げにいった」

「……それで?」
ごくりと唾液を飲み込む音が、自分の耳に響き、始の返答を緊張しながら友梨佳は待った。

「健斗さんは全く怒ってなかった。芳也のコンプレックスに気づいて、芳也が一人でやれるって証明の為に距離を置いてたと言ってくれた。それから二人は会って和解したよ。芳也は一発殴られたけどそれでこの話は終わりって」

「よかった……」
心底ほっとして友梨佳は安堵のため息をついた。

「まだ、両親の事とか婚約者の事とか片付けないといけないと思うけど、芳也がその気になれば乗り越えられると思う。もう少し時間がかかると思うけど、きっとアイツは水崎を迎えに行くと思うから。もう少しお前が水崎を支えてやってくれ」

真剣に二人を思う始の気持ちがひしひしと伝わり、友梨佳も「はい」と力ずよく頷いた。

(麻耶……幸せになれるよ……)

親友の幸せが早く来るように友梨佳はジッと祈るように、夜景に目を向けた。

「お前ってさ……変な女……」
そんな友梨佳を見ながらクスリと笑って言った始に、「どういう意味ですか?」少しケンカ腰になってしまい、友梨佳は心の中でため息をついた。


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