Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘
20分ほどして、サロンの裏口のドアが開く音がして、友梨佳はドキッとしてそちらに目を向けた。

(何!こんな時間に!泥棒??)

ドキドキしながら縫っていた布を胸に抱きしめて、ジッとその方向を見た。

「館長……」

そこから現れた人に驚きと安堵で友梨佳は座り込んだ。

「お疲れ。ほら」
そう言って渡されたビニールの袋にはおにぎりやお茶が入っていた。

「なんでここに?」
恐る恐るそのビニール袋を手にして、友梨佳は始を見上げた
「これか……」

トルソーに着せられたドレスと、隣に置かれたプリントされた写真を見比べて始はため息をついた。

「コサは全部できてるのか?」

「全部はまだ……」

その言葉に、始はジャケットを脱いで床に座ると、おもむろに置かれていた針と糸をとり無言で縫い始めた。

「館長……」

「いいから。とりあえずそれを食べて少し休憩しろ。先は長いだろ?」
「はい……」
始の言葉にようやく緊張していた気持ちが少しほぐれ、部屋の隅のソファに座るとおにぎりを口に入れた。


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