Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘
「それにしてもどうしてこんな急な作業を?」
呆れたように言われた言葉に、友梨佳は苦笑した。

「今日の夕方分かったんです。明日来店予定のこの新婦様の話が。担当の新人スタッフ同士のおしゃべりの中で。ない物は仕方ないよね。本当に我儘な新婦で困るって話してて」
そこで友梨佳はため息をついた。

「そこから慌てて内容を確認して、プランナーさんにも連絡して。すごくこだわりのある新婦様だから、ドレスが無いって言ったら式キャンセルにでもなり兼ねなくて。店長も休みだし、さっきまでは派手に叱って、手伝わせてたんですけど、時間も遅いし若いお嬢さんは帰さないといけないかなと思って」

その言葉に、始はため息をつくと「お前も若いお嬢さんだろ?」そう言うと友梨佳を見た。

「私なんか……」
呟くように言った友梨佳の言葉を拾うように、始は手を止めるとジッと友梨佳を見据えた。

「なんでそんなに自己評価が低いんだ?どこからどうみてもキレイな部類でモテた人生だろ?」

「そんな……モテたっていいことありませんよ。私は恋愛にも結婚にも興味ないですから」

「……こないだも思ったけどなんでだ?」
ジッと始に見られて、友梨佳は慌ててドレスに目を向けると、ぽつりと口を開いた。
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