Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘
「いい出来だな」
首を回しながら、立ち上がった始に、友梨佳も頷くと二人はドレスを見据えた。

「できた……」

時間は深夜の0時を回っていた。

「すみませんでした。本当にありがとうございます。徹夜を覚悟してたので」
ペコリと頭を下げた友梨佳に、「当然だろ」それだけ言うと始はカバンを持った。

「お疲れさまでした」
声を掛けた友梨佳に、始は怪訝そうな表情を見せ、
「何してるんだ?早く用意しろ。送ってく」
ぶっきら棒な口調にも友梨佳は頬が緩むのを抑えられなかった。

(なんだかんだ優しいんだからな……)

友梨佳は荷物をまとめるといそいで駐車場へと向かった。
駐車場には国内最高メーカーフェルチェンヌの黒のSUVが止まっていた。

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