Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘
『何?怖気ついた?やめてもいいよ』
クスリと電話の向こうで、イジワルそうに笑った顔が友梨佳は想像できて、イラっとすると答えていた。
「別に怖気ついてなんか。すぐに行きます!」

(私のバカ……!!)
『48階のレセプションに伝えてあるから、鍵もらって部屋にきて』
「はい……」

言ってしまった事は、後悔しても仕方なく友梨佳は電話を切るとタクシーを止めると乗り込んだ。


エントランスでタクシーから降りると、友梨佳はホテルを見上げてため息をついた。

(どうせカラダだけの関係なら、ラブホとかでいいのに……。こんな高級ホテル彼氏とも来た事ないよ……)
都内でも有数の高級ホテルを前に友梨佳は複雑な気持ちでエレベーターを見つめると、言われた通り48のボタンを押した。

【クラブフロア】

その文字を見つめて、友梨佳はまたため息をついた。
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