Hold me 副社長の瞳と彼女の嘘

「はい……」

「緊張するわよね……あの副社長だもん。あの綺麗な顔で睨まれたら何も言えなくなるよね……」
思い出したように真野は身をすくめた。

「そんなに怖いんですか？」
友梨佳の恐々とした言葉に、真野は顔をしかめた。

「怖いとは少し違うかも。あの何を考えてるかわからなくて、冷静で冷ややかな声を聞くと……ゾクリとするわね」

「店長！！」
フフッと笑った真野は「だから大丈夫よ」そう言って笑った。

「だからって……どう大丈夫なんですか？」
呆れたように言った友梨佳に、

「うーん、確かに前の社長みたいに笑顔で話を聞いてくれるタイプじゃないけど、言ってることもやってることもすごく的確だし頼りになるわよ。さすが現場をずっと仕切ってきた人って感じだし。でも感情がないのよね。いつも部下にも敬語でしょ？あの敬語がまた迫力あるのよね……やっぱり怖いのかも」
そう言いながらも、真野は友梨佳の肩をポンと叩くと、

「まあ、緊張しなくても大丈夫よ。今月末までまだ時間があるから、意見まとめておいてね」

「はい」
ポンと肩を叩かれて友梨佳も笑顔で返事を返した。